生殖与避孕の新たな目的とは?
当時、日本国内の工場ではT生産方式をK食品流に編集し直したNKPを実践していたが、海外でもNKPの実践が可能だろうと考えて、工場の竣工時からトレーニングを重ねていた。
Tのペルー、ブラジルなどでのT生産方式の実践の経験から踏んで、K食品でも海外でのNKPは十分に適用可能だろうと考えていた。
ほぼ毎月出張して、「改善研究会」という名の改善活動を指導したが、なかなか実らない。
生産開始から何年か経過しても、出張するたびに改善のステップ1、つまり初めから指導せざるをえないという状況が続いた。
これにはほとほと参った。
「なぜだろう」と考えていくと、一つは「組織風土」の問題があった。
T生産方式の研究者によると、Tには「自己学習システム」という組織風土があり、それが日々の改善を可能にしているし、今日のTの成功もある、という。
たしかに米国やスコットランドの工場の場合、そうした組織風土はない。
「日々改善」は続きにくい状況だった。
そこで、改善スタッフは出張ではなく、常駐という形に切り替え、本腰を入れて取り組み始めた。
不良品の発生を低減すれば、コストが下がるし、低減した分だけ生産量も増加する。
これは、彼らも十分に理解している。
ただ、それは自分の役割ではない。
本来の自分の仕事は、所定の生産量を確保する点にあり、そこで役割は終わっている、というのが彼らの考え方だった。
これではいくら研究会を重ねても、現場レベルでの改善活動ができるはずがない。
まして定着などは能だ。
そもそも問題意識のないところに、問題など見えるはずもない。
解決策を探る動きなど出て米国工場の製造課長クラスに話を聞いてみると、「T生産方式を勉強するのはとても面白い。
しかし、それを自分が実践するかどうかは別だ」という答えが返ってきた。
つまり、改善研究会自体は興味があるし、ボスにも参加しろと言われるので、せっせと参加している。
しかし、問題点を自ら探しだして、日々改善するのはラインを担当している自分の仕事ではない、スタッフの仕事だ、という考え方が根底にあるとわかった。
しかし実践は私の仕事ではない常駐スタッフがいくら目を光らせて、改善を指導しても、それは所詮「言われてやっている」にすぎないのも事実だ。
実は米国では当時、T生産方式は大流行のシステムであった。
研究会に参加する製造課長クラスはT生産方式を学ぼうと、大変な興味を示していた。
その意味で、T生産方式がほとんど知られていないスコットランドとはわけが違う。
だから、会社や市場についても、丁寧に説明を続ける一方で、「あなた自身が問題のホルダー(所有者)であり、結局は得をするのはあなただ」と、根気強くラインの人間に説き明かした。
具体的には、年間の工数低減目標や歩留まり目標などを月々に割り振って、各週ごとに改善活動計画を立て、それをフォローし、目標を達成させるようにした。
同時に目標達成のためには、ラインだけではなく、スタッフも一緒になって改善活動に取り組み、ライン全員が「問題意識」をもって改善活動を続けられるようO氏もかつて、Tの各工場や各生産ラインのさまざまな数字や目標の進捗状況を、なんのコメントも出さずに、毎月送り続けていた。
その数字を見て、各工場・各ラインが、どうすればより高いレベルにいけるかを自分たちで考えさせるのが、O氏のやり方だった。
こうした地道な努力の積み重ねがあったからこそ、Tの今日の組織風土も醸成されたのだと思う。
米国工場の例を教訓として、以後は、改善の指導よりも、いかに「問題意識」を持たせるか、いかに「動機づけ」を行なうかに力点をおくようにした。
個人のモチベーションだけに頼るのではなく、会社のおかれている状況やマーケットの状況などについても丁寧に説明するように心がける。
自社や市場についての正確な情報を提供しないままに、社員の危機感のなさを非難する例もみかける。
これは自身の責任を回避して、責任を社員に押しつけているようなものだ。
A住宅会社のコンサルティングをしていたときに、いくら工場改革を進め、プレハブ住宅にT生産方式を導入しようとしても、どうにもならない問題があった。
家を建てるには、住宅会社で生産している部品以外にも、多くの資材や部品が必要になる。
サッシやドア、カーペットといった資材や部品を、自社で生産する部品と組み合わせて、一棟ごとに建設現場に運ぶ方式をとろうとしたところ、取引先のなかには、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」供給できない会社があった。
納入される資材や部品に欠品があったり、不良品が含まれていたり、あるいは納期に何十日もかかる会社がある。
これではいくら住宅会社で工場の改革を推し進めても、肝心の建設現場の改革は一向に進まない。
取引先の企業に声をかけて、「改善研究会」を発足させた。
そこで出会ったのが、共立金属工業だ。
同社はアルミメーカーのグループ企業で、玄関ドアや網戸といった住宅用アルミサッシの専業メーカーである。
現在でこそ同社の会社案内には、「完成までの生産所要時間三時間」と、赤文字で目立つように書かれているが、出会ったころの納期は四○日や三○日という商品がざらだった。
もちろん同社だけが特別に遅いというのではない。
当時は業界全体でも四○日や三○日という納期は当たった方であった。
当時、同社を取り巻く環境はバブルのなかで好調に推移していた。
しかしS社長(一九五○年生)は、いまの好調は単に景気のおかげと考え、将来への不安は大きかった。
住宅会社への納品方法が変化して、従来のやり方では対応はムリだというのも十分にわかっていた。
そんなときに「改善研究会」でT生産方式を知り、つくり方によって、コストや品質・納期が大きく変革できることを知る。
この方法を突き詰めていけば、時代を先取りしたモノづくりができるのではないか、と感じるようになった。
H社長は思い切ってT生産方式の導入を決断する。
最初は生産ラインを一気に変えるのではなく、社長と課長の二人だけでモデルラインをつくるところから始めていき、毎日多くの改善を繰り返していった。
その結果、スタートして二年目くらいに「なんとかなりそうだ」という自信を得て、全社的に改革を進めていった。
同社の従来の生産方式では、商品が規格品でもあるので、今日はA製品を、次の日はB製品をという方式で、それぞれほぼ月に一回のペースで、まとめて生産をしていた。
つくる側としては、まとめてつくるほうが効率もいいし、在庫として保管しておけば、いつでも注文に応えられると考えていた。
しかし、住宅を建てる顧客のニーズが多様化して、住宅会社が一棟ごとに細かい注文をするようになると、在庫のない製品も出てくる。
その際は、当時の生産方式では、何日後かの生産を待つしかない。
納期に何日もかかるのはやむをえなかった。
同社がここまで「スピード」にこだわるのは、H社長の強い意識による。
「かつての買値をメーカーが決めていた時代と違い、お客様が買値を決める時代には、これが自社の特徴ですとはっきり言えるものを持たないとメーカーは生き残れない」。
特に住宅業界に関しては、少子高齢化が急速に進むなか、住宅の建設戸数は当然のように減少する。
住宅機器の生産量も減少はしても、増加は考えにくい。
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